ヌッシー疑似餌同好会

カテゴリ: 〆ナイフ自作

前回で完成した〆用のナイフ

このナイフは折り畳みナイフではないナイフなので鞘(さや)が必要です
鞘のことを「シース」と言い、折りたためないナイフはシースが必要なので「シースナイフ」と呼ばれます

当初の計画では皮でシースを作成する予定でしたが、皮のシースは味はあるものの汚れた場合に洗えないのが欠点
何より塩分が付いてしまうことが多い船上での使用では致命的鞘に入れておくだけで錆びてしまいます

折角錆に強いことで採用したSUS440Cなのに皮のシースではちぐはぐ

そこで丸洗いでも何でも可の「カイデックス」と言う素材を使ってシースを作成することにしました

カイデックスは熱を加えると柔らかくなり、冷えると固定される素材です
今回は2mm厚を購入
適当な大きさに切ってオーブントースターで加熱

熱いうちにナイフに当てて えいっ!

カイデックスシース自作1

下に雑誌を敷いているのはハンドルと刃部の段差を無くしてナイフの水平を調整するためです
シースの表面の型どりが出来たら裏面もえいっ!

カイデックスシース自作2

ナイフの入れ口周辺の整形だけを先に済ませます

カイデックスシース自作3

カイデックスシースは通常ボルト止めだけで作成して異物が混入したような際は分解して清掃出来るようにするようですが、恐らく塩分位しか入ってこない使い方しかしないナイフですのでエポキシ接着+ボルト止めで作成することにしました

頑丈さ重視です
接着してクランプで固定

 カイデックスシース自作4

乾いたら周囲をグラインダーで整形して穴開けてボルト止め!
(説明端折りました)
ベルト固定式にしたのですが、最近流行のテックロックではなく簡易版のベルトループを接続

出来た!!

カイデックスシース自作5

ナイフを入れたらこんな感じ

カイデックスシース自作6

横から見たらこういう構造になってます
エッジの終わりの部分の絶妙な圧でピッチリカッチリ固定出来ます
裏面刃先側には水抜き用の穴も1発あけてあります

カイデックスシース自作7

自分で言うのも何ですが初めて作ったにしてはナイフもシースも良くできました!(笑)
パッと見、買ってきたみたいでしょ?

当分これで行くぜ!!




ナイフ自作もいよいよ佳境に入ってきました

先日購入して来たハンドル材のマイカルタ(ローズウッドマイカルタ)
コイツを大体の形に切り出し
大体でOK

1マイカルタ切り出し

元々の板材状態で湾曲していたので接着面を削って水平出し
コレがまたなかなか水平にはならないもんですわ

これをまずは片面だけ2液混合エポキシで刃と合体!!
クランプでガッチリ固定して24時間放置

2エポキシで接着

固まったら鋼材の方からドリル通して固定ボルト用の穴を開けておきます

3留め具穴開けてから

で、もう片面も2液混合エポキシで接着!
クランプで固めて24時間放置!

4もう片面接着

最近のエポキシって凄いですね
カッチカチですわ

使ったのはコレ
コニシ ボンドE250
コニシのボンドE250って言う普通にホームセンターで売ってるやつ
ナイフの定石通りボルト止めすべく穴も開けましたが、実際エポキシのみでガッチリ固定出来ています
ボルトは… 飾りですね


ここまで大体の大雑把な作りでハンドルを作ってきましたが、ここから本番
周りを整形して・厚みも削り・ラウンドも付けて…
7割作成完了!

5整形

おお!かなりナイフらしくなってきました!
かなり握りはええ感じです!


次はボルト埋め込み
使うのはシュナイダーボルトと呼ばれるタイプのボルト
2段仕様で下段6mm上段8mmのボルト
先にもう6mmの穴は開けてあるのでハンドル穴を8mmに拡大

とここで仮組みしてみたら穴が若干大きくてボルトの横に隙間が出来ることが発覚
2段ドリル買うお金をケチったのがマズかったか…

仕方ないのでハンドル材の切れっ端をヤスリで削って粉末状にして、それをエポキシに混ぜてハンドル色のパテ作成
それを穴に充填しながらボルト固定

6ボルト固定

またこの状態で24時間放置

え?ボルト飛び出てるって?
そうなんです
ヌッシーもナイフの作り方調べるまで知らなかったのですが、和包丁のような「かしめ」で固定するのと違ってナイフ(洋包丁も)はこうやってボルトを飛び出させて固定して後でボルトを削って整形するんです

和包丁はハンドル交換可ですが、ナイフは基本交換不可って考え方なんでしょうかねぇ?

エポキシが固まったら飛び出ているボルトの頭をグラインダーでギューンと削ります
アツアツになるから水掛けて冷やしながら作業しました
ある程度削ったらヤスリで更に真っ平らに…

そのままの勢いでハンドル自体の最終整形
ヤスリの番手を上げながらバフ掛けまで

うぉりゃ〜〜!
出来た!

1完成!

やっと出来たよ… ふぅ〜〜
写真じゃ映りにくいけどマイカルタのハンドルの積層模様が実に美しい!

ハンドル形状も狙ったとおり
握り込んだ時に手の平の窪みにボコッとはまるので魚を絞めるときに刺突しやすい(力を入れやすい)です

2握り心地上々

細かい粗はあるものの、初めてナイフ自作したにしては上々の出来と自画自賛!!(爆)
そうそう!こういうの欲しかったけど無かったのよね〜

今まで使ってた隼と比べてみると…

比較1

全長は若干短めだけど長さの差は主にハンドルの長さ
刃の幅が広いから魚の急所探らなくても一発で決まりそう
片刃だからメンテもしやすいしね

比較2

刃厚は僅かに自作の方が厚い(0.5mm差)
ステンレスフルタングだから錆には断然強そう
その分は重量に現れて、隼の120gに対して自作は220gとほぼ倍の重さ
腰に下げると疲れそう…

しかし何とかなるもんですねぇ(笑)
作成方法はネット上を探せばいくらでも見つかります
ポイントは簡単か難しいかと言うよりは手間を掛けられるかどうかですね

さて次回は(まだ引っ張るか?!)シース(鞘ね)作成!
皮で作る予定でしたがカイデックスで作ることに変更予定です


前回八田工業株式会社さんに焼き入れ処理依頼発送した続き
中6日程で返送されてきました

仕事早っ!

焼き入れ完了

鈍く焼けた色合いが格好いいぜ!

片刃と言うことで心配された「反り」も殆ど無し!
僅かに付いていた反りも机に当ててグッと力入れたら一発で解消
流石に八田工業株式会社さん上手く焼きますね〜

八田工業株式会社さんでは焼き入れ後の硬度も計測の上タグ付けしてくれます
それによるとHRC(ロックウェル)硬度で60!
硬い!
硬いぜ!

これ以上硬いとヌッシーには研げなくなる寸前の絶妙な硬さです(笑)


この色合いも好きですが、このままでは全くお話にならないので作業を進めます
まずは焼けた表面皮膜を落とし…

波面の裏表をバフ掛け
バフ掛け楽しいね〜
ピカピカになります

制作中のナイフは観賞用ではなく、あくまでズバズバ魚を絞めたり時には船のちょっとした隙間に突っ込んで固定されたり(爆)ガンガン使う予定の実用ナイフですから必要以上の輝きは要らんのです

要らんけどバフ掛けは病み付きになる魔力を持ってますね

ある程度バフ掛けしたら刃付け

刃付け…
どうやって刃を付けるか色々検討しました
ナイフ専用の刃付け道具も存在しますが、後々のメンテを考えたら普通に水砥石で研げる方がメンテ性が良いんですよね

と言うわけで800番砥石である程度刃付けしてから6000番仕上げ砥で刃作り
んで再度バフ掛け…

これを夜な夜な繰り返して嫁さんに不気味がられ…(笑)

大体80%仕上げ位で作業一時ストップ
(ここまでで指2回切りました…)

研いで磨いて

一応顔が映ります
つるつるヒンヤリした金属の感触が気持ちイイ〜

ちなみに…
デザイン上刃渡りの手元1/3位は刃物として役に立たなくなってます
(弓なりに手元へ返ってきてるため。でもこのデザイン無ければ完全に出刃包丁…)
なので手元1/3は「刃」っぽく作ってはいますが刃は付けてません
意味ないだけでなく危ないので…
あくまで刺突メインの作りです


さて、本体は大体出来上がったので今度はハンドルです

ハンドル材はまた京都市内の「金高刃物老舗」にてローズウッドマイカルタを購入
マイカルタってのは簡単に言えば樹脂
布やら紙やら木やらを挟んでは固めて積層化してあるものです
電子部品の基盤なんかが主な用途みたいですが、ナイフのハンドルとしても温度や湿度での変化が少ない事から多用される材料です

こいつに現在苦戦中(汗)
まだまだ続く!

マイカルタ



ナイフの輪郭がある程度整ったらいよいよ刃面作り

失敗したらすべて水の泡なので緊張します

ナイフを自作するのは初めてですが、物作り好きな勘としては
ここをいかに丁寧に作るかが勝負どころのような気がしますし、ここで弄り過ぎたら大失敗のような気もします

まずはマジックで刃面として削る部分を色塗り
(注:片刃仕様なのでここからはこっち面が表です)

刃の部分にマーカー

色塗ったら固定してグラインダでギュンギュン削ります

グラインダで刃面削り

ある程度削ったら荒砥で研いでみました
う〜んまだまだ…
盛り上がってる部分にマジックでマーキングしてグラインダ、荒砥…

あ”!!
やっちまった><

やっちまった

勢い余って刃の根元の部分からグリップまでグラインダ飛び火

デザイン的に刃の根元をラウンドさせて手前に曲げてきたのが災いしたか…

仕方ない…

やっちまった部分はデザイン的に処理しよう!

しょうがないからデザイン的

これで誤魔化し(笑)


この後もグラインダでちょっと削っては荒砥で修正を繰り返し、刃面を表裏の平らな面を当て木したサンドペーパー掛けして仕上げ

ちなみに刃面は作ったけど刃はまだ付けてません
現在1mm以下の厚みでキープ
焼き入れてから刃を付けるのです



で、こんな感じか?!


焼き入れ前



誰ですか〜〜〜?出刃包丁やんって言うてるの?(笑)


ここまで出来たので取り敢えず焼き入れに出しても良いはず

焼き入れは
八田工業株式会社に出す予定です
しばしお時間くださいね〜〜


またまた続くのであった…

今回のナイフの作り方はストック & リムーバブル法と言ってアメリカのラブレスっちゅうオッチャンが「鍛冶屋さんみたいにトンテンカンと鍛造せんでも鉄板切り出してから焼き入れたら刃物になるやん!」と始めた作り方

と言うわけで鋼材を購入したらまず切り出さなくてはいけません

作った型紙を鋼材に貼り付けて(両面テープ使いました)
周りをけがいて更にマジックでマーキング

型紙貼り付け

グリップが若干はみ出てますが、どうせ削るのでなんとかなるでしょう(笑)


次にしっかり固定して周囲をドリルで穴開けまくります

周りを穴開け

知り合いのボール盤を借りに行っても良かったのですが、面倒臭かったので手持ちの電動ドリルで穴開け
何故かホームセンターで買った1本800円のハイス鋼ステンレス用ビットよりもダイソーで買った1本105円のチタンコートドリル(一応ステン用)の方が持ちが良かったです

電動ドリルはバッテリー2個あるのですが、1個のバッテリーで開けられる穴は大体6〜7位
充電しながらかわりばんこにバッテリー使用です
途中で電動ドリルのモーター部がドリル持てなくなる位加熱したので冷ましたり…

ハァハァ…

結構大変だぜ!

何とか周りを穴開け終わったら次にその穴を繋ぐように金ノコで切り出し

金ノコで切り取り

う〜む…

まだ結構余分な部分が多いね

ちょちょっと金ヤスリで削ってみましたが、こりゃ何年かかるか判らん位の進行状況

やってられるか!!

そこで何故か持ってるグラインダー登場!

サンダーでビューン


保護ゴーグルかけてギュイ〜〜ン!!
バチバチ火花飛ばしながらガンガン削れます

楽ち〜ん!!
ビバ文明の利器!!

あっと言う間に大体の形は切り出せました

う〜ん…

重いね(爆)

何しろ4.5mm厚のフルサイズナイフですからメチャ重いです
まさに出刃包丁並

そこでグリップ部分に電動ドリルで穴開けまくって(適当に)軽量化
これでちょっとだけ軽くなりました

整形&軽量化

周りをちょいちょい整えて切り出し完了!!
(ヒルト(指を守る鍔)も無しなので切り欠き無し)

ね、何だからしくなってきたでしょ?
誰?そこ?出刃包丁やんって言うてるのは?!


まだまだ続く…



まぁ正直作るよりも買ったほうが早いよ…(笑)

嫁さん出産間際で行動不能なヌッシーです
まぁどちみち一年で一番魚が釣れない時期なので家にいるのは良いとして…
何か作ろうか…


と言うわけでこの時間を利用して以前から作ってみたかった魚〆用のナイフを自作してみることにしました

え?「いつも腰にゴツいナイフぶら下げてるやん」って?
そう、ヌッシー愛用の〆ナイフは佐治武「隼」です


こいつは元々の刃を無視してヌッシーが刃を付け直しているものですが、流石に鍛造ナイフだけあって切れ味抜群!
デカい魚もズバッと〆る事が出来ます

お気に入りです

ただ、鍛造和ナイフの宿命で錆びやすいのはいかんともしがたい欠点
塩分濃度の濃い黒潮海域だと見る間に錆びてきます
まぁその度に家で研ぎ直すのですが…
「このままでは速攻でちびて無くなる!」(爆)

また、研ぐ際も両刃作りなので両面研がなくてはいけないのも億劫
〆ナイフとしては片刃作りが良いなぁ〜
もうちょっと刃の厚みも欲しいなぁ〜

錆びない・片刃・厚手… ステンの出刃包丁使っとけや!

ってな声も聞こえてきそうですが、それじゃぁちょっと面白くないでしょ?
格好から入るヌッシーとしては格好ええ方がええのです(笑)

しかし市販のナイフはどれも両刃が殆ど

やっぱり仕方ない…
作ってしまおう!!
(諦めないのがヌッシー流 笑)


まずは型紙作ってデザイン設定から
出刃包丁的な刃の厚みがあったほうが頑丈
刃の長さは10cm前後が使いやすい
刃の作りは片刃で和風だけど全体の作りはナイフで
フルタング(刃から持ち手の後ろまで1枚で切り出し)
ソングホール(糸通し穴)無し


う〜ん う〜ん

ナイフ型紙

日本には銃刀法って法律がありますので変な形は御法度
加えてナイフ業界にも自主規制的なものがあるようで、ヤバい形は焼き入れして貰えない可能性もあります

〆ナイフって要は刺し殺すナイフですので放っておくとどうしてもヤバい形にならざるを得ないんですよね
具体的に言えば切っ先は切り出しナイフのような斜めカットが良いし、峰は真っ直ぐな方が良いのですが、これはドスや短刀(タントーブレード)形状と見なされる可能性があります

そんな中で良い形を模索

グリップ形状は隼から拝借
このグリップ気に入ってるんですよね
柄尻が掌の中にスポットはいる形状が「グッ」と体重掛けて刺すのにええ感じなのです


デザイン決まったら鋼材

ナイフの鋼材は色々ありますが、錆びにくい・入手しやすい・加工しやすいと3拍子揃ったSUS440Cに決定!
(切れ味は鍛造には全く及びません)

鋼材購入は京都市内の「金高刃物老舗」にて
SUS440Cの4.5×40×250を購入
厚みが4.5ミリって事!
2205円
これを安いと見るか高いと見るか…

生ステンレス



話は続くのだった!!



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